模型制作記録簿

模型趣味のアレコレを綴っていきます。

プロポーション改修

今回はプロポーション改修についてアレコレ。

キャラクターキットを組んでみたら、何か物足りない・コレじゃナイ感じがする…そんな時のお話です。

 

・プロポーション改修で大事なのは原典を読み解くこと

キャラクターキットを組んでみて違和感を感じたら、設定画などと同じようなポーズ・角度・画角で撮影して見比べてみます。スマホのカメラは広角で中央が膨張して映るので、できる限り画質ギリギリまで倍率を上げることで画角を狭く=歪みを弱めます。ひたすら比較して感じた違和感をピックアップしていきます。

 

・部位の形状変更に着手する前に済ませる

真っ先に目につく違和感が部分的なもの、例えば肩当てや膝当て等々の形状であるなら、それらを外した状態でなお違和感が無いかを良く見ます。基本的なプロポーションに問題があったり、逆にプロポーションに問題はなくパーツのポジショニングの問題の場合もあるからです。ここでプロポーションに問題があると感じたら、どこに問題があるかを探して改修を始めます。

比較的ベーシックなのは「延長工作」。脚が短く見えるので長くする、腕が長すぎて見えるので短くする…といった末梢でのバランス変更。ただ、脚が短く見えるのは胴長だからでは?腕が長く見えるのは胴体が潰れているからでは?ともいえ、トータルで見た時にどこを変えると修正が少なく済むかも考えます。

例えば私がバンダイ1/144クァドラン・ローで感じた印象は「上半身デカ!」でした。そして設定画に対してバックパックの印象が薄い…そこでとった手法は、巷で多かった脚の延長や腕のボリューム変更ではなくバックパックのサイズを基準に上半身の幅詰めと頭部ハッチのシュリンクを基本としました。なので四肢は延長工作無し(脚のアウトラインは相当変わってしまいましたが、多分2mm弱短くなってます)。

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元キットに対して脚を延長した印象にもなりますし、バックパックとのバランスも程良いと自負しています。

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・できれば基本的人体バランスを知っておくと良い

基本的人体構造をある程度知っておくと、このキャラクターは何をどうデフォルメしたのか?が見えてくるようになると考えてます。とあるメカはギリギリまで人体構造を外して考えたとのことですが「知ってて外す」のと「知らずに外した」のとでは天地ほどの違いがあります。

デザインを起こす時、そもそもどうなっているのかを知らないと「尖ったデザイン」や「普遍的なデザイン」との使い分けが出来ないように、基準点を知ることは造形上で大きな武器になると思います。

 

・プロポーションのコントロールが出来れば無敵

こうしてプロポーション改修により二次元の向こう側に居たキャラクター達をこちらの世界へ引き寄せることが出来れば、こんな楽しいことはないと思います。キット化してくれたのは嬉しいことだけど、ちょっと違うなあ…そんな時、躊躇なくキットを刻むにはスキルも経験も要求されるでしょう。ただ、それらが足りなかったとしても、プロポーションへの意識が多岐にわたって行き届くようになっていれば、諦めずに手を動かし続けることが経験となりスキルとして身につくように思います。

 

何かに似せて出来上がったものが「模型」の模型たる所以です。作り手のオリジナリティや独自性はまた別のところにある魅力ですが、「そうそう、コレが見たかった」というシンプルな動機がプロポーション改修へと向かわせるのです。

ということにしておきましょう(笑)